新人オーディションに歴史あり2
- 2013年10月19日 |
- その他 |
プロレスがやりたいものから見るだけのものになってしまっている。数年前からそれをひしひしと感じていた。
昔より子供のプロレスファンが減ったせいもあるが、プロレスごっこもあまり見かけない。プロレスの技が高度になり、アクションの派手な技も増えたため、プロレスごっこが成り立たなくなったせいもあるし、格闘ごっこの遊び方、力加減のわからない子供が増えたという見方も出来る。
2年前に私は、新日本プロレス道場で「プロレス道場」なるものを始めた。そこには、プロ目指す人を育てると共に、プロレスごっごを安全に普及させ、それが出来る子供と、アマチュアのないプロレスの底辺を作るという狙いもあった。
今、プロレスは盛り上がりをみせ、ファンも多くなってきている。しかし子供たちの将来の夢とは別世界にある。プロレスラーに憧れる若者が増えた時が本当のプロレスブームなのだと思う。今回の公開新人オーディションは、世間への発信を含めたその第一歩にしか過ぎない。身長、年齢もかつての基準に戻した。今の新日本プロレスは、入門できる基準を甘くしていい時ではない。前回の1で書いたように、より多くの人材を入れようと撤廃した時期もあったが、時代とともに状況は変わる。そのタイミングは運でもあるが、それを超える意思と行動力を持つことも大切である。
今回のテストメニューは、テストとしては至極標準的な内容。出来てあたりまえのメニュー。しかも公開ということもあって、見栄え良くアピールタイムを先にして脱落者が少なくなるようスクワットも最後にしてある。最後のがんばりは絵になるが、欲を言えば、涼しい顔で終える者が欲しかった。ちなみに小松洋平選手はテストの時、プロレス道場で育てたせいもあるが、今回よりきついメニューを最後まで涼しい顔でこなしていた。僕がテストを受けた時は最初にスクワット1000回だったが、脱落者は少ししかいなかった。それを思うと、やはりテストに臨む準備が足りないと言えるだろう。だいたいのテストメニューは今まで様々な媒体で公開してきているのだ。
それは履歴書でもそうだ。本当に熱意があるかどうかは履歴書からも伝わる。残念ながら履歴書で落ちる者も多い。「本当にこいつは入りたいのか?」そんな書き方をしているのある。今回は約100通の応募があり、18名が体力テストへと通過。当日会場に来なかった者もいたため13名の公開テストとなった。
まずは熱意が伝わるかである。そしてテストでは、今までの努力を見る。しかしそれだけではプロにはなれない。そこにセンス・才能。もって生まれた体格。それらを全て加味して合格者を決めていくのだ。そこにはその時にどんな人材が欲しいかというタイミングも含まれる。(続く)