シュマリ・・・世界はこの空でつながっている
- 2016年01月31日 |
- プロレスに思う |
中邑真輔が新日本プロレスを退団しWWEへ行く。新日本プロレスでは壮行試合が行われた。
多くのファンはこれをお別れと捉えた。だが僕はこれをお別れとは捉えていない。
日常というミクロな視点から捉えると、そこに居なくなってしまう感覚だが、この世界にいるというマクロな視点から捉えると、これからもそこにいるという感覚だ。
僕はこれを、手塚治虫さんのマンガから学んだのだと思う。
手塚治虫さんの「シュマリ」というマンガがある。詳しいストーリーは避けるが、主人公シュマリが明治の初めの北海道で生き、さらには世界へ飛び出して行く歴史ロマンである。
シュマリはいつも空を見上げる。
このセリフで、僕は世界は広いのだとい言うことを知り、世界へ行ってみたいという思いにさせられたのかもしれない。
時を経て、世界へ出たシュマリは愛した女性と離れて生きるが、その女性はつぶやく。
「あんた・・・ あんたと私とは この空でつながってるんだよ・・・!」
世界はつながっている。
時も空間も越えて。
だから、この出来事を嘆くことなど何もないのだ。
ただ一つ、ミクロな視点から見ると、場末仲間がいなくなるのかなと。
過去を振り返ってみても、なぜか僕の飲み仲間はいなくなる。西村、吉江・・・。
チェーン店には行かない、地元のお店を開拓する、つるまない、好きなように飲む、時間と空間を味わう、人の悪口はどうでも良い、発展のない話はしない、刺激を求める・・・。
同じような人が自然と集まって飲むのだから、みんな自分の道を生きるのは必然。
飲みの空間ではいろいろな話をするが、それはたわいもない話。
かつて、中邑選手に一度だけお礼を言われたことがある。
中邑選手がアントニオ猪木さんに向けて発言した時に書いたブログに対してだ。
2009年10月14日の配信になっている。
「赤本世代の君たちへ」
私はアントニオ猪木に憧れこの世界に入った。
だからこそ新日本プロレスを選んだ。
他の何者でもないアントニオ猪木=新日本プロレスであったのだ。
時は流れ、今の新日本プロレスに猪木さんはいなく、IGFという団体がある。
でもやはり新日本プロレスの歴史に猪木さんは欠かせない、というかありきである。
中邑真輔の発言を都合良く解釈する者のなんと多いことか。
これは短絡的な話ではない。
揚げ足を取るがごとくここで書くのは簡単であるが、昔からの新日本プロレスファンは本当はみんな分かっているであろう。
外野はただそれをビジネスに結びつけているだけ、いや今ある自分の属する世界を正当化したいだけ。
アントニオ猪木の名前を出すと言うこと。
それは今の世の中にありがちな短絡的な結果を求める○×式回答の世界ではない。
新日本プロレスという世界への根本的な問いであり、正解のない世界への旅であり、誰かがスイッチを押さなくてはいけないエントロピー減少へのスイッチである。
そこへ踏み出した旅。
それを受け入れずしてなんのプロレス界か。
世間と違う世界にあるのがプロレス界ではないのか。
すぐに回答を求めたがる赤本世代。
ページをめくれば回答がある、そんな世の中は現実ではない。
まして正解があるとはかぎらない。
回答を求めてもっと模索しようではないか。
今は当時よりもっと理解者が多いであろう。
中邑真輔選手、自分の思う道を生きて下さい。そしてみなさんも。
僕も自分の道を生きます。今までも、これからも。